『新宿 わたしの解放区』 佐々木美智子 寿郎社

新宿のゴールデン街が全盛だったのは、1960年代後半のことだが、実は私はそれほど行っていない。

早稲田の映研に入り、最初に小茶に連れて行かれたのと、卒業してから一緒に芝居をやっているのに街の常連がいたので、1970年前後によく行ったくらいだ。

この町が有名になったのは、映画、演劇などの連中が多く来て、武勇伝を残したからだが、その頂点は俗に「新宿ゴールデン街映画」と言われた黒木和雄監督の『竜馬暗殺』だと思う。

これは、数多くある坂本竜馬ものでも最高の部類で、しかも内容が、当時の政治的状況もきちんと反映している作品である。

                                       

さて、佐々木美智子さんは、かなり複雑な経緯があるが、北海道から上京し、新宿で働いたことから日活の編集部に入り、その後写真学校に行き、写真家になる。

要は、事件というか、何か事が起きているところに身を置く習性なのだろう。

ゴールデン街で店を出し、日大全共闘の秋田明大らが出入りし、全共闘運動の最盛期にまさに公私ともに身を置くことになる。

その後、若松孝二との関係から新宿のゴールデンゲイトを経営するが、これは若松の映画『天使の恍惚』で使われている。

スペイン、さらにブラジルに行くなど、実にご立派な活躍ぶりである。

更なるご雄活躍をお祈りする。

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