SP盤の迫力にはあらためて驚嘆する

武蔵野美術大学で行われている中村とうようさんの『ポピュラー音楽の世紀』展のイベント,北中正和さんと田中勝則さんのレコード・コンサートに行く。

                                             

少し遅れて会場に入ると、ブラジルのカルメン・ミランダの曲が終わったところ。この人の唄のリズム感は本当に素晴らしい。

続いてフラメンコの古典的女性歌手のニーヤ・デ・ロス・ぺイネスの1930年代のSP盤。

これが実に凄い。途中で声を張り上げて歌うが、これの声の質がまったく違う、物凄い迫力だった。

SP盤を蓄音機の名器クレデンサで聴いたので、どこにも電気機器が入っていないくて、リミッターがないので、最大の音声が出ているのである。

オーディオ用語で言う、ダイナミックレンジが非常に広いのである。

機械的性能は、現在のオーディオ機器の方が遙かに上だが、実際に聴いた迫力はSP盤の方が遙かに凄いのである。

これは実際に聴いた者でないと理解できないだろうが。

後半は、映像によるもので、1990年代にNHKBSで毎年年末に放送された『赤道音楽』からのもの。

エジプトのハムザ・エル・ディーンのウードの演奏と唄。

アルジェリアのシエブ・ハレド、インドネシアのダンデットの王様のロマ・イラマの『ストップ』

そして同じく女王のエルフィ・スカエシのライブ。実は、私は見ていなくて「あれっ」と思い、終了後に田中さんにお聞きすると、1991年の春に渋谷のオンエアでのものだとのこと。

この時、海外事務所派遣も含んで3か月間英語の泊り込み研修に富士宮に行かされていたので、見に行けなかったのだ。

私は、1980年代のナイジェリアのサニー・アデの公演の時も、アメリカに仕事で出張していて見られなかったのである。

映像の多くが、横浜のウォーマッドのものだったことにあらためてウォーマッド横浜の意味の大きさに驚く。

終わった後、田中さんのところに若い女性が来て、「こんなすごいのができたのに、今はスキヤキくらいしかないのは・・・」と言っていた。

確かにそうなのです。どうして5年間しか続けられなかったのか。私と田村光男の力量の不足です。

ただ、今日の日本の多くの音楽イベントで、ロックからジャズ、ポピュラー、そして演歌に至るまで、多くのジャンルが混合していることが当然のようになっています。

それを作りだしたのは、紛れもなくウォーマッド横浜だったのだから、私はそれで良いと思っています。

一粒の麦も死なずば・・・であると思うのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする