自民党は、昔とまったく変わっていない。

2013年1月に私は、次のように書いた。

地方と都会の議員の差

2013年01月07日 | 政治

多分横浜市会の第26代目の議長だった鈴木喜一先生から聞いた話だと思うが、大都市から選出された議員よりも、地方から出た議員の方が中央政界で出世しやすく、大臣や総理大臣になりやすいのだそうだ。これは、勿論自民党の議員の話である。

横浜の自民党の衆議院議員に松本純がいる。市会議員の補選で当選し3期務めた後、衆議院議員選挙に神奈川1区から出て、途中一回落選したが、現在は5期目の議員である。彼のホームページに日記があり、これは日々、彼自身が書き、また写真も撮っているそうで、詳細な記録で大変興味深い。これを読むと、彼は選挙区の横浜市中区、磯子区、金沢区のありとあらゆる会合、集会、行事、果ては葬式、結婚式に出ていることがわかる。その精勤ぶりは、「区役所の地域振興課長でも、このようには地域に出向いていないだろう」と思うほどである。勿論、彼自身の後援会等の小会合もあるので、簡単に比較はできないが、それにしてもよく出ている。冗談に、松本純のホームページと横浜市磯子区の市会議員大田正孝先生のホームページを読んでいれば、横浜市内の様々な動きは分かると言われるほどである。だが、松本純はなぜこのようにこまめに地元の活動をするのだろうか。言うまでもなく、そこまでしないと大都市の自民党の議員は選挙で当選できないからである。

今回はともかく、近年、日本の大都市では自民党の議員は人気がない。民主党をはじめとして、概ね野党に方が人気があり、それに対抗するためには地元活動、つまりはドブ板選挙を熱心にやることが必要なのである。だが、地方では最近はともかく、以前は自民党の当選回数がある程度の議員ならば、地元活動などはしなくても十分楽に当選できた。選挙など、期間中に二三度地元に帰れば十分で、それよりも自分の派閥の若手や新人の応援に行くことも平気だったそうだ。だから、その分、常に中央にいて、党務に精勤したり、政策の勉強をして大臣、さらに有力政治家になることができるのだそうだ。だが、大都市の自民党の政治家は、地元活動に時間を割かれるので、それができず党内で出世ができないのだそうである。

今回、民主党が惨敗した原因の一つに、菅直人元首相や野田前首相すら苦戦を伝えられ、地元の自分の選挙に菅元首相は張り付いていた事がある。本来なら、自分は絶対に当選するのだから、その分自派の候補の応援に行くところ、それができなかったこともあり、自派の議員が落選している。

確かに、大都市出身の自民党の総理大臣は少ない。小泉純一郎は、首都圏だが横須賀は大都市ではなく、横須賀で小泉一族の人気は絶対で、近年彼は選挙にはまったく苦労していなかった。その意味では、今回の安倍内閣で、横浜市内の神奈川2区選出の菅義偉議員が内閣官房長官になったのは、大変なことだと言える。因みに、冒頭で書いた鈴木喜一先生を横浜の市会議員から追い出して県会に行かせたのは、当時小此木彦三郎議員の事務所にいた菅義偉秘書である。鈴木先生は、県議会議員としては同情票で1期だけは当選したが、その次には落選して引退された。一方、菅義偉氏は、市会議員を2期務められた後、衆議院議員に出て、連続当選されているのは、まことにご立派。鈴木喜一先生は、県会議員に同情票で当選したときは、70歳をはるかに越えていたのだから、本当は1期で潔く引退しておくべきだったのだが。

今回の甘利大臣の記者会見を見ると、事態は昔とまったく変わらないように思える。

                        

彼は、「小選挙区制だといろんな人と付き合わなければ当選できない」と言ったそうだが、そうではなく、大都市では自民党が弱いからである。

自民党の政治は、昔と大して変わっていないと私は思う。

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