嘘八百映画 『ヨコハマ物語』

サッカーグランドの芝を管理していた男の奥田英二が定年退職し、職場の女性から花束ももらって自宅に戻ると、妻市毛良枝が死んでいた。

49日の法要の日の墓参りで、墓に向かって怒鳴っている若い女に会う。孤児で、ロックバンドのマネージャーだったが、リードボーカルだけを引き抜かれて怒り狂っている北乃きい。

そこから、職もなく、飢えていた彼女は、奥田の家に住み込むことになり、さらに広大な家をシエアハウスにしてしまう。

結局、4人の20代の女性が住むことになる。家出していて、突然戻っってきた息子に言わせれば、

「おふくろがいたときは、グランドの芝生のことばかりで家のことは何もせず、死んだ途端に若い女を連れ込んでいるのかよ・・・」

                     

まさにその通りで、奥田が真面目で普通のさえない親父を演じているが、いつエロ親父に変身するのかと思ってしまう。

60歳過ぎた親父の奥田が、4人の女とセックスして子が出きて大騒ぎになるという喜劇なら面白いのだが、どこまでもまじめに終始する。

最後、レストランンを首になって家に同居させた女が非常にうまいボーカルで、ライブハウスでコンサートをやって大成功となる。

もし、溝口健二が、この脚本を見せられたら、「これはドラマではありません。観光とシェアハウスのパンフレットです」というだろう。

ヨコハマというが、出てくるのは山下公園、元町、山手だけで、もともと奥田が広壮な屋敷に住んでいることが第一におかしいと思う。

グランドの芝生の管理者というせいぜい課長程度の職員が大邸宅を持てるはずはなく、嫁の市毛の実家ででもあったのだろうか。

日本映画専門チャンネル

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