『13、000人の容疑者』と伊福部先生

関川秀雄特集で川崎市民ミュージアムで見る。話は、昭和38年に起きた誘拐事件「吉伸ちゃん事件」のドキュメンタリー的映画。タイトル前に、大川社長の「この映画は、二度と悲惨な事件がおきないよう」願ったものという言い訳が出る。当時はまだ「際物」で儲けることを善しとしない風潮があったのだろう。

東映は、1950年代には『ああ等洞爺丸』という青函連絡船沈没を題材とした作品を事件後1週間目に作ったのだそうだ。

主役の刑事は芦田伸介、その他松本克平、稲葉義男、永田靖ら俳優座系の新劇役者。
脚本は、警視庁鑑識課出身で、『警視庁シリーズ』等の刑事ものを多数書いた長谷川公之。
音楽は伊福部先生で、その重厚で暗い響きが作品にぴったり。
犯人は井川比佐志、情婦が市原悦子、井川の母も岸輝子と俳優座。

この映画がテレビで全く放映されないのは、主人公に足に障害があり、ひどいびっこを引いていることであろう。

この頃は、まだ関川もアル中ではなかったらしく、まじめに撮っている。

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