「演歌は伝統文化ではない!」

先日、東京新聞特報部の記者から電話があり、「今度、演歌歌謡曲を応援する議員連盟ができましたが、演歌は伝統文化でしょうか」と聞かれたので、

即座に「演歌は伝統音楽ではなく、1960年代中ごろにできた、きわめて新しい音楽のジャンルだ」と答えた。

3月5日の朝刊に出ていたが、友人で東京を取っていないという人も多いので、以下にコピーしておく。

私は別に演歌をけなしているのでも、ひどいと言っているのではない。

演歌は、『カチューシャの歌・復活唱歌』や『船頭小唄』のような中山晋平の流行歌、昭和初期の『アラビアの唄』や『君恋し』のようなジャズ小唄、そして戦時中の軍歌と経て、戦後の歌謡曲となるが、これらは日本的な歌と西欧の音楽が混淆した、どちらかと言えば英米の音楽に近い、極めて西欧的な音楽である。

第一に、歌謡曲も演歌も、楽器は西欧のもので、日本の邦楽は、色付け程度にしか使われていない。

俗に「演歌の女王」と言われる美空ひばりも、演歌調の曲を歌うのは、昭和30年代の後半であり、『真っ赤な太陽』は、GSサウンドだった。

一般にというか、故中村とうようさんの説では、「ポピュラー音楽30年」というテーゼがあり、1960m年代中ごろにできた演歌が、2000年代の今日に衰退しているのは、きわめて当然のことなのである。

物にはすべて命があるというのが、ギリシャの哲人の説だったが、演歌も例外ではないのだ。

もちろん、個々人が趣味として楽しみ、愛好するのは、非常に結構だが、何らかの形で公的援助しようというのは大間違いなのである。

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