『大阪極道戦争・しのいだれ』『しゃぶ極道』

川崎の新百合ヶ丘に行き、細野辰興監督作品を見る。どちらも弁護士の山之内幸夫の原作なので、実話からできているのだろう、細部が豊富で意外性に満ちている。

笠原和夫の『仁義なき戦い』に匹敵する面白さで、その大阪版というべきもの。

あまり上映の機会がないと思うと、末期の徳間大映で、「1994,1996年の時期まであったの」という感じがあらためてした。

                                              

どちらも、大阪の弱小やくざの組長の役所広司が主役で、そのはじけ方が凄い。

とくに、『しゃぶ極道』の覚せい剤中毒の組長が最高で、『仁義なき戦い』で千葉真一が演じた大友勝利を2倍くらいにした異常な男である。

「覚せい剤は、人間を幸福にする」と信じ込んでいる男で、しゃぶの売買を組の事業に据えると言う。

「俺たちは薬屋だ!」

これには大笑いで、一の子分の渡辺正行(大変な好演である)は、子供に仕事を「製薬会社の部長」と偽っている。

賭場で、役所が一目ぼれして誘拐してものにしてしまう女が最後まで誰かわからず、また彼女と一緒にいる老やくざも誰だろうと思っていた。

最後、タイトルで見ると、なんと早乙女愛と藤田傳で、今は二人ともいないのである。

また、両方での本田博太郎の迫力も見ものである。

この2本の傑作が、あまり上映されないのは、徳間大映時代の作品だったことがあるのだろうか。

『しのいだれ』では、最初からほぼ最後まで、画面の真ん中に緑の点が点滅していたが、フィルムのカビらしい。たまには風を入れて乾燥しておいてほしいものだ。

川崎アルテリオ映像館

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