『風』

サイレント映画の有名作で、主演のリリアン・ギッシュの代表作でもある。

話は、テキサスに来た若くて無垢な女性のリリアンがこうむる数奇な物語で、ところどころはホラー映画ではないかと見えるところもある。

監督はスエーデンのヴィクトル・シェストレムで、相手の男もスエーデンの俳優とのこと。

           

今回は、特別に柳下美恵さんのピアノ演奏が付く、大変に素晴らしいもので、やはりサイレント映画は音楽なり、日本的な活弁が付かないと本当の鑑賞はできないとあらためて思う。

活弁は、日本、韓国、タイにしかなかったもので、世界的には音楽の演奏付きで、アメリカの大劇場では大オーケストラによるものだったそうだ。

アメリカでの映画の上映は、映画だけではなく音楽ショーやバラエティーなどがあるショーの一部として行われたが、日本でも、日劇や浅草国際劇場では、映画とショーがセットになって興業が行われていたものである。

リリアン・ギッシュは言うまでもなく美しくてかわいいが、演技も相当なものである。

映画の終了後、シネマベティの下の横浜パラダイス会館で、柳下さんを交えてのお茶会があり、ここではリリアンの研究家、コレクターの宮下啓子さんのトークに圧倒された。

彼女は、リリアンと直接に文通された方で、日本のサイレント時代の資料からアメリカの様々なパンフ、写真など、まことにすごい。

私は知らなかったが、彼女は映画の後、舞台に出て活躍されたのだそうだ。

結局、一生結婚せずに99歳の天寿を全うされたとのこと。

まさにリリアン・ギッシュの一日だった。

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