『おんな番外地・鎖の牝犬』

東映で「番外地」と言えば刑務所のことで、これは女性刑務所の話で、女囚は緑魔子、その他同じ房には同居するのは、浦辺粂子、春川ますみ、清河玉枝、原知佐子、城野ゆきら。

             

緑は、結婚するとだました男の梅宮辰夫を刺殺し、梅宮と組んでいた男もナイフで刺して懲役8年で入獄。殺人で8年というのは短い刑期だが、初犯はこんなものだろう。

刑期で意外に重いのが窃盗で、私が実際に知ったのでは、知的障碍の若者が店の物を盗んでたしか3年だった。資本主義国日本では、財産に関する刑罰は意外に重いのである。

監督は村山新治で、脚本は舟橋和郎、音楽は先日亡くなれた富田勲。

看守部長が荒木道子、担当さんは中北千枝子とベテラン女優なので、劇が締まる。

浦辺や清川らも演技も非常に上手いもので、芸能大会のシーンで2人は「泥鰌すくい」を踊るがさすがにじょうずで、昔の役者は芸がある。

もう一人、大ベテラン女優がいて、原知佐子の母で、同じ尊属殺人らしい事件で入獄している、同じ元新東宝の五月藤江さん。彼女は1966年に引退したとのことなので、1965年のこの作品は最晩年の映画である。

当然にも原知佐子の緑魔子への同性愛行為があり、懲罰房で彼女が自殺したとき、緑魔子は、復讐を企図し、スリで8犯という若水やえ子と組んで、中北の持つ鍵を盗み脱獄しようとするが、もちろんすぐに捕まる。

尋問の席に出てくる所長は、NHKテレビの『事件記者』の捜査1課長役の高島敏郎、いつも彼は「まだ発表の段階ではありません」だけだが、ここでは緑魔子と台詞のやり取りがある。

最後、流産の危機から命を救われた緑魔子が改心し、自立することを示唆して終わる。

梅宮辰夫がまだ二枚目なのが今見ると非常におかしい。

阿佐ヶ谷ラピュタ

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