『伊豆の艶歌師』

フィルムセンターの木下忠司特集、1952年に東映の2本立て攻勢に対抗して松竹でも始められた西河克己監督の中編映画作品の1本目。

           

伊東温泉の艶歌師、若い佐田啓二らとボスの清水一郎との対立を描く。驚くのは、芸人宿のようなものがあり、そこに皆が住み、清水からショバ割りされて各自が仕事に行く。

清水は、戦前からの松竹の俳優で小津安二郎作品では、寿司屋の親父役等でよくみられる人だが、ここでは渋い悪役。

もちろん、上がりをピンハネしていて、さらに芸者幾野道子をめぐる対決から、佐田と清水の決闘に至る。

元は、木下恵介用に準備されたものを短縮したものだそうだが、これを見て西河克己は、意外にも松竹的ではないことに気付いた。

ここには、松竹的な軽さ、上手さ、上品さはなく、新旧の対立が主題になっているのは、旧日活的であり、その後西河が日活に移籍し、活躍したのも故のあることだったのだ。

もう1本の『素晴らしき招待』は、戦時中に疎開していた木下忠司の原案で、浜名湖奥地の小学生が「海を見たことがない」ことから、山火事を防いでくれた子供たちへのお礼に、山持ちの北龍二が子供たちを弁天島に招待するもの。『クリスマス・キャロル』のような話だが、子役は古賀さと子と設楽幸嗣で、ほかにシリア・ポールも見える。

脚本が野村芳太郎で、監督は杉岡次郎だが、この杉岡氏は、後に野村芳太郎のチーフ助監督を何度か務めた人であり、この辺の人間関係はよく分からない。

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