『ジャイアンツ』

ジャイアンツと言っても、野球じゃない、大長編映画である。

不愉快な選挙の番組を見ても仕方ないので、以前録画しておいたのをDVDに移転させながら見る。

                                             

テキサスで、牧場の牧童のジェームス・ディーンが油田を掘り当て大富豪になる話だが、そこからが延々とある。

テキサスの大牧場主のロック・ハドソンのところに、東部の名門の女性エリザベス・テーラーが結婚してくる。

前半は、東部とテキサスの風土、人間、思考の差異が描かれる。ハドソンの使用人やメキシコ人への差別、蔑視意識がすごいが当時では当然のものだろう。

リズは、東部の人間の進んだ意識があり、地域の改善というか、慈善的行為をしたい意思がある。

そして、ハドソンの姉が落馬して急死し、彼女の遺言でディーンに土地が贈与され、努力の末にそこから石油が出る。

日本との戦争になり、牧場の使用人の子供たちも出征してゆく。

大富豪になったディーンから、戦争に協力するためハドソンは土地の買収を持ち掛けられ、最後は納得するが、心の底ではディーンを許していない。

戦後、ディーンは飛行場付きの大ホテルを作り、その披露パーティーにハドソンとリズ一家も招待される。

だが、パーティーの場で、ハドソンの息子の妻が牧場のメキシコ人女性で、美容室で差別されたことから、ディーンを殴り倒す。

ディーンは泥酔してパーティーの演壇で寝てしまうが、この辺も、作者たちの成金趣味への批判が読み取れる。

一家は、ディーンの飛行機に乗ることを拒否して車で帰り、ハンバーガー店に入る。

と、白人の店主が、露骨な差別意識を示されたとき、ハドソンは店主と格闘して倒される。

最後、リズは、この時のことを最高の夫と褒めたたえる。

そして、孫の顔がクローズアップされてエンド。監督や作者たちは、将来への差別解消への思いが込められているように見えた。

この作品は、1956年だが、この思いは2009年のオバマ大統領の出現によってかなえられたことになる。

アメリカ映画の偉大さを再認識させた1本だった。

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