松山善三、死去

松山善三が亡くなられた、91歳。

この人は、やはり本質は脚本家というべきで、松竹の他、大手の各社に脚本を提供している。

最近、格差婚というのが言われているが、当時日本一の大スター高峰秀子との結婚は、まさに格差婚で、その始まりだろう。

小林正樹の『人間の条件』9部作もこの人のもので、今見ると中国や朝鮮人の描き方に驚愕するだろうが、1950年代末の日本人の中国、朝鮮・韓国への意識をよく反映していると思う。

松山善三は、15本の映画を監督しているが、当時は映画館で毎週新作映画の上映を求められた時代で、東宝も傍系の東京映画でも作品を沢山作っていて、彼もそこで監督デビューした。

『名もなく貧しく美しく』であり、世界映画史上多分唯一と思われる、高峰秀子、小林桂樹の主人公二人が聾唖者で、手話で会話するという作品である。

                           

「名もなく貧しく」は、今の若者は到底に耐えられず、美しくないと言うだろうが、1960年代の日本人は、そう思っていたといことの記念碑的作品である。

また、この作品は横浜の鶴見線など、古い国鉄の電車や駅付近が多数出てくる映画でもある。

日本映画界に多大な貢献をされた松山善三氏のご冥福をお祈りしたい。

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