紀伊国屋書店がニトリに代わっていた

芝居を見るために、久しぶりに代々木の紀伊国屋サザンシアターに行くと、以前は1階から5階まで占めていた紀伊国屋の書店が、全部ニトリになっていた。

6階は洋書専門の大きなフロアになっていた。

これができたとき、「すぐ近くに新宿の紀伊国屋本店があるのに、ここに出して平気かな」と思ったが、やはりそうだったのかとあらためて思う。

それほどに本は売れないものなのか。

それは一般的に言えば、日本のみならず世界的に「知的なもの」を軽視する傾向の増大の結果だと思う。

アメリカでは、どう考えても異常で幼児的なトランプが大統領になったのも、その現れである。

戦後、世界の覇者となったアメリカは、軍事や経済のみならず、文化や知的なものでも世界をリードするように努めてきた。

ソ連という、文化、経済、軍事でアメリカと対立する大きな力があったことも理由だった。

スプートニク・ショックとそれに対抗したアメリカのアポロ計画の推進がその現れの一つである。

冷戦も終わり、もうそんなきれいごとを言う必要はなく、要は金だ、金だというのがトランプであろう。

添田啞然防作の演歌で「金々節」というのがあったが、今や日本も第二の「金々節」の時代になったようだ。

知的なものの無視、軽視と言えば、橋下徹の大阪維新の会が出てきて、熱烈に迎えられた時代が日本での始まりだと私は思う。

サザンシアターで見た劇団民芸の芝居は、悪くはないが、そう感動できるものでもなかった。

いつもの通りに北品川に行って飲んで帰るが、新宿駅では小雪が降っていた。

以下が、「金々節」である。

金だ金々 金々金だ
金だ金々 この世は金だ
金だ金だよ 誰が何と言おと
金だ金だよ 黄金万能

金だ力だ 力だ金だ
金だ金々 その金欲しや
欲しや欲しやの顔色目色
見やれ血眼くまたか目色

一も二も金 三・四も金だ
金だ金々 金々金だ
金だ明けても 暮れても金だ
夜の夜中の 夢にも金だ

泣くも笑うも 金だよ金だ
バカが賢く 見えるも金だ
酒も金なら 女も金だ
神も仏も 坊主も金だ

坊主可愛や 生臭坊主
坊主頭にまた毛が生える
生えるまた剃るまたすぐ生える
はげて光るは つるつる坊主

坊主抱いてみりゃ
めちゃくちゃに可愛い
尻か頭か 頭か尻か
尻か頭か 見当がつかぬ
金だ金だよ医者っぽも金だ

学者・議員も政治も金だ
金だチップも賞与も金だ
金だコミッションも賄賂も金だ
夫婦・親子の中割く金だ

金だ金だと 汽笛がなれば
鐘もなるなる ガンガンひびく
金だ金だよ 時間が金だ
朝の5時から 弁当箱さげて

ねぼけ眼で 金だよ金だ
金だ工場だ 会社だ金だ
女工・男工・職業婦人
金だ金だと 電車も走る

自動車・自転車・人力・馬力
靴にわらじに ハカマにハッピ
服は新式 サラリーマンの
若い顔やら 気のない顔よ

神経衰弱 栄養不良
だらけた顔して 金だよ金だ
金だ金だよ 身売りの金だ
カゴで行くのは お軽でござる

帰る親父は 山崎街道
与市べえの命と 定九郎の命
勘平の命よ 三つの命
命にからまる サイフのひもよ

小春・治兵衛 横川忠兵衛
沖の暗いのに 白帆がみえる
あれは紀の国 みかんも金よ
度胸どえらい 文左衛門だ

江戸の大火で暴利を占めた
元祖・買い占め・暴利の本家
雪の吉原 大門うって
まいた小判も 金だよ金だ

お宮貫一 金色夜叉も
安田善次郎も 鈴弁も金だ
金だ教育 学校も金だ
大学・中学・小学・女学

語学・哲学・文学・倫理
理学・経済学・愛国の歴史
地理に音楽 幾何学・代数
簿記に修身 お伽に神話

コチコチに固くなった頭へ詰める
金だ金だと むやみにつめる
金だ金だよ 金々金だ
そうだ金だよ あらゆるものが

動く・働く・舞う・飛ぶ・走る
ベルがペン先が ソロバン玉が
足が頭が 目が手が口が
人が機械か 機械が人か

めったやたらに 輪転機が廻る
金だ金だと うなって廻る
「時事」に「朝日」に「万朝」「二六」
「都」「読売」「夕刊報知」

捨子・かけおち・詐欺・人殺し
自殺・心中・空巣に火つけ
泥棒・二本棒・ケチンボ・乱暴
貧乏・ベラ棒・辛抱は金だ

金だ元から 末まで金だ
みんな金だよ一切・・金だ
金だ金だよ この世は金だ
金・金・金・金 金金金だ

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