『透明人間』は裸で町を歩いていた。

昭和29年、大ヒットの『ゴジラ』に続き作られた円谷英二特撮映画。

銀座で車が何かを轢くが、何もない。
と、道路に血が出て、死体が見えてくる。
遺書から、自殺で、彼は戦時中に軍隊の秘密研究で作られた「透明人間」であり、もう一人いることが書かれている。
透明人間を名乗る強盗団が横行する。この辺は、「帝銀事件」を思わせる。

もう一人の透明人間が、ピエロ姿のサンドイッチマン河津清三郎であるのは意外。メークや衣装を脱ぐと、体が消えてしまうのが見せ場の特撮。
となると、透明人間は裸で町中を歩いていたことになる。

最後、悪の親玉高田稔とガス工場のタンク上での格闘になる。
透明人間相手の、一人アクションはなかなか大変だろうが、高田は上手い。

二人共、タンクから落下して死ぬ。
と、ピエロ姿の河津が出てくる。
しかし、透明人間は裸だったはずで、本当ならば「フルチン」姿の河津が出てくるはず。

河津の隣家にいる盲目の少女が、当時、人気のあった少女歌手の近藤圭子。
河津のことを知らない盲目の近藤が、透明人間と対話するシーンがある。
これは『フランケンシュタイン』で、盲目の賢者とフランケンシュタインが対話するシーンから来ているものだろう。
近藤圭子は、『海ほうずき』の大ヒットで有名で、テレビ映画にもかなり出ていたが、女優としては大成しなかったようだ。

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コメント

  1. ものぐさ太郎 より:

    「海ほうずき」?
    近藤圭子は覚えていますが、「海ほうずき」という歌は記憶にありません。どんな歌でしたっけ?

  2. 『海ほおずきの歌』
    あの日は海が荒れていたあぁ、」という文句で始まり、
    「わたしゃ、ほおずき、海ほおずきよ」のリフレインで終わる。

    かなり暗くて重い感じの歌。
    日本童謡史上では、有名な大ヒット曲である。

    唐十郎の劇によく出てきたはず。