『殺しの烙印』

日活のみならず、日本アクション映画史上に残る大傑作。封切り時に連続3回見て、1967年中に全9回見た。

この映画は、日活社長堀久作が「分からない映画を作る監督はいらない」と言い、鈴木清順を解雇したために裁判になる。

確かに、この映画は分かりにくい。
私も3回目までは、よく分からなかった。
省略と転換の激しさ、グラフィックな処理が当時はよく分からなかった。
久しぶりに映画館で見ると、その世界に魅了される。

宍戸錠が演じる、殺し屋ナンバー3の原田の好きなものは、ご飯の炊ける匂いだが、電気釜は、あのパロマの圧電釜。

殺し屋は、ナンバー1の南原宏冶他、南広、大和屋らだが、この中で今も生きているのは、宍戸と恋人の真理アンヌのみ。他は皆死んでしまった。

この作品の映像は、とても巧妙に作られており、最初のシークエンスで、宍戸が南原を信州まで送っていくが、そのレンガ作りの建物は、実は横浜市金沢区富岡にあった海軍工廠である。この建物は、松竹の愚作『白昼の惨殺』でも使用されている。
そこから繫がるレンガ造りのトンネルは、東京お台場にあった旧海軍の施設だと、木村威夫さんから教えていただいた。

宍戸の妻小川万里子は、芦川いづみに似た美人だが、この映画以外で見たことがない。この映画の後、テレビの『七人の刑事』に一度だけ出たと思うが。

音楽は山本直純で、主題歌は大和屋が歌う『殺し屋のブルース』

前半から中盤までは、息詰まる展開だが、後半はユーモアに場内爆笑だった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする