昔の事務機

宗澤俊郎さんのところに、和文タイプについて書いたので、昔使っていた事務機を思い出したので、書く。

一番有名で、今も一部では使われているのは、通称青焼きの「青写真」だろう。

リコウのリコピーも有名で、1970年代の書類の複写は全部リコピーで、薄い用紙に鉛筆で文字を書き、重ねて複写機に入れると、コピーされて出てくる。

これがゼロックスになったのは革命的だったが、最初はコピー代が高いとのことで、使用制限があったものだが、すぐになくなって、今のコンビニコピーのように急速に安くなった。

計算尺やタイガー計算機もあったが、私がいたのは市会事務局で、技術部門ではなかったので、使ったことはなかった。

その代わり入ったのは電卓で、本のような大きなものだったが、実に便利で、ろくにソロバンができなかった私は非常に助かった。

市会事務局には、多分他にはない器械があった。レックス・ロータリー印刷機と紙折り機だった。

レックスロータリーは、北欧の会社の小型オフセット印刷機だった。

まず、コピー機に原稿を載せ、コピーするとピンクの印画紙の上に炭素で出来た原稿が出来てくる。

炭素が載っているのが味噌で、単に載っているだけなので、余計なものは磁石棒で取ることができ、きれいな原稿にする。次はこれをトースターのような機械で熱して炭素を印画紙に焼き付ける。これをオフセット印刷機に掛けるが重要なのは、絶えず水を流していることで、一方で油性インクを印画紙に付ける。炭素(つまり原稿部分)にはインクが載り、他の部分は水があるのでインクを弾くので、これで原稿にインクが付く。ただ、これでは逆になるので、一度別の皮の胴に転写した後、紙を順次入れて印刷する。

非常に良くできたシステムですごいものだといつも感心したもので、1枚の印画紙で大体千枚くらい印刷できた。これで、議会に出された陳情・請願書をコピーしたのである。

もう時効だが書くが、大久保英太郎さんが議長で、私が議長秘書を勤めた時、彼の選挙用の原稿を1万枚くらい印刷したことがある。この時大久保先生は初めて保土ヶ谷区で1位当選され、私は先生から大変に感謝されたものである。

紙折り機というのは、多分非常に珍しいもので、大変に便利なものだった。

陳情書などは、B4サイズで印刷すると、今度は半分に折って揃えなくてはならない。

そこで、数百枚の紙をまとめて一方向から入れると、ゴムの車軸がいろいろと重なっていて、きちんと二つ折りにして出てくるのだ。

いろいろと調整すれば、三つ折り、四つ折りもできるすごい機械だったが、今はもう使われていないと思う。

昔の事務機で一番有名なのは、言うまでもなくガリ版、孔版だが、私が入った頃にはさすがにもう使われなくなっていた。

ただ、昭和20年代の議案書を見ると、議案も予算書もガリ版刷りで、非常に驚いたものである。

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