牧紀子について

今回の松竹メロドラマ特集で、実は一番見たかったのが、牧紀子主演の『愛を誓いし君なれば』だったのだが、『アルマ・マーラー』を見たので、駄目だった。
牧は大変な美人だったと思うが、あまり伸びなかった女優である。

篠田正浩のデビュー作『恋の片道切符』では、落ち目のジャズ・マン小坂一也から売リ出しのロカビリー歌手平尾昌明に乗り換える女を演じている。
もっとも看護婦の彼女は、佐竹明夫の愛人だったが、その苦しさから自殺するところを小坂に助けられ、さらに平尾に鞍替えするので、まあ自立志向の女と言えないこともないが。
今見られる作品では、小津の『秋刀魚の味』のOLだろう。

牧は、松竹を離れた後、東映、日活等に出ているが、一番印象に残るのは小林旭の「女の警察」だろう。
そこでは、社長の加藤嘉に囲われていた元ホステスで、どこかへ逃亡してしまい、小林旭が捜すことを依頼される。
加藤の台詞、
「あいつは、いわゆる(なんとか)締めで、最高なんだ。絶対に探してくれ」
この、「なんとか締め」をなんと言ったか思い出せないが。よく言う「三段締め」ではなかったと思う。確かにそういう感じのする美人だった。
1970年代以降、『男はつらいよ』以外の日本映画で美人女優は不要になり、個性派と言う名の「ブス」のオン・パレードになったので、自然に消えた。

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コメント

  1. これは、カッパ締めでした。要は、ミミズ千匹の類だそうだ。
    何事も、先達はあらまほしきものなり、である。

  2. 弓子 より:

    牧紀子は彫りの深い美人でしたね。

    サラリーマン映画や「赤ひげ」に出ていた
    藤山陽子も、お人形が動いてる
    と思うほど、整った、それでいて上品な人でした。

  3. 弓子 より:

    追伸

    この方を取り上げている項目ありましたら
    急ぎませんので、恐縮ですが教えて下さいますか?

  4. この右上のブログ内を検索に「牧紀子」と入れると、10件出てきますので、どうぞよろしく。

  5. 弓子 より:

    有難うございました。
    さっそく拝見させて頂きます。