横須賀の中の沖縄

今村昌平の『にっぽん戦後史・マダムおんぼろの生活』は、京都から横須賀に出てきて米兵相手に水商売をしてきた女性の戦後史である。

今村は、このドキュメンタリーを作る前に、横須賀の沖縄の人のことを調べていた。と言うのも、戦後、沖縄等の南方から本土に引き上げて来た人達が上陸した港である横須賀に住み着いたからである。

汐入や逸見あたりらしく、丘の中腹に多数の住宅を作って住んでいたようだ。

私が脳こうそくで滝頭の脳血管医療センターに入院していた時、同室に井料さんというおじいさんがいた。その方は、沖縄出身で、横須賀で小泉純一郎の父親の小泉純也議員の秘書を務め、後には横須賀の市議会議員もやっていた方だった。

ある時、大きな男の人が見舞いに来たが、井料さんは、

「あれは私の従姉妹だが沖縄の男で、今はハワイにいて、これからまたハワイに帰るんだが、沖縄の人間なんでのんびりとした奴だ」と言っていた。

井料さんが、いつ横須賀に来たかは聞かなかったが、多分戦後のことではないかと思う。

京浜急行で、汐入や逸見の駅を過ぎるとき、沖縄や南方から来た人たちは、戦後どうしたのだろうかといつも思う。

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