『拳銃は俺のパスポート』

日活の監督で一番好きだったのが野村孝だったので、『夜霧のブルース』の後も、宝町にいて『拳銃は俺のパスポート』を見る。

『殺しの烙印』に次いで、見た回数が多い映画で、多分6,7回目だとお思うが、やはりよくできていて、全体にみなぎる緊張感が凄い。

話は簡単で、やくざの組長嵐寛寿郎と対立する組の佐々木孝丸から依頼されて、ライフルで殺害した宍戸錠と弟分のジェリー藤尾が、横浜からどうやって逃げるかである。

ほとんどが横浜で撮影されていて、出田町ふ頭や本牧関連産業地区の建材埠頭などの珍しいエリアでも撮影されている。

横浜以外の場所は、佐々木の邸宅と宍戸らが隠れる、なぎさ館という旅館謙食堂だが、これは江の島か逗子あたりの海辺だと思う。

最後の埋め立て地での決闘は、製作時期から見れば、本牧のBかCふ頭だと思うが、これはどちらでも同じである。今は、BとCは、間の水域を埋立てられて一つのふ頭なっているのだから。遠くにセメントサイロが見えるので、Cふ頭の可能性の方が高いと思うが。

因みにAふ頭は、川崎汽船と日本郵船のコンテナターミナルだったが、今は両社とも大黒ふ頭に移転し、跡地は今後緑地と物流基地にする計画なのだそうだ。

野村孝は、本来抒情的な人で、ラストの本牧でのアクションシーンには非常に驚いたが、ここはセカンド助監督の長谷部安春が撮ったとのことである。

チーフ助監督は、桑山朝夫で、ロマンポルノ時代に『OL日記・ちぎれた愛欲』を撮っていて見たはずだが記憶にない。

この3週間で急に作られた作品の唯一の欠点が、本来なら芦川いづみの役どころを、配役が間に合わなかったのか小林千登勢が演じているところだと思っていたが、彼女の暗さがむしろリアリティを与えているように見えた。

フィルムセンター

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