『夜の女たち』

昭和23年5月公開の溝口健二作品。大阪で、戦争未亡人から娼婦へと転落してしまう女を田中絹代が演じる。
その妹で、自堕落なダンサーが高杉早苗。

終戦後の大阪の西成、心斎橋等が出てくる。イタリアン・ネオリアリズモに影響を受けたロケーション撮影がすごい。西成あたりや心斎橋が出てくるが、まさに廃墟である。
東京大空襲もすごかったが、大阪の空襲はさらにすごかったようだ。
東京は、戦争終結後、占領政策上で使用する必要があり、意図的に爆撃しなかった地域もあったが、大阪は占領上ほとんど必要なく、全面的に空襲したようだ。

そこで暗躍するギャングや不良少女など。
きわものだったので、大ヒットしたらしい。当時は、田村泰次郎原作、轟夕起子主演のマキノ雅弘監督の『肉体の門』など、パンパン映画が大当たりしたが、その一つ。

田中絹代は、貞淑な未亡人から蓮っ葉な娼婦までを好演。
やはり、この人は上手い、大変な女優だ、と再認識した。
フィルム・センター

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コメント

  1. ものぐさ太郎 より:

    ジョアン・ジルベルト
    「夜の女たち」とは、何の関係もありませんが、8日にジョアン・ジルベルトを見ました。ここ4年で、

    3回目の来日公演だというのに、広い国際フォーラムが満員で驚きました。これは落語の志ん生を見るのと同じ感覚なんでしょう、たぶん。実際、両巨匠の芸風は良く似ていると思いました。