『飢餓海峡』

内田吐夢監督、三国連太郎、伴淳三郎、左幸子主演で映画化された水上勉の小説の劇化。
前の上演は16年前だそうで、その際は、石田えりと永島敏行。
今回、永島は同じだが、主演の杉戸八重は、ミュージカル女優の島田歌穂。
言ってみれば通俗劇だが、なかなか面白かった。紀伊国屋ホール。

見て分かったのは、映画は大作だったが、相当にダイジェストしたものだったこと。
事件の発火点である青函連絡船転覆と岩内町の大火を、原作は昭和22年としているが、実際は昭和29年であること。

島田は、左幸子に比較するのは過酷で、愛嬌と台詞の間はとても良い。ただ、声が硬くて聞きにくいのは、何とかしてもらいたい。ときどき、次の瞬間に歌い出すのでは、と思うところがあった。本当は、歌うと面白いのだが。
永島は、なかなか良くやっていた。この人は、今の日本の役者では貴重な存在だろう。

全体として、戦後の「貧困風俗」の展示会であり、ここまで説明しないと観客は理解できないのか、と思う。
いずれにせよ、飢餓がほとんど根絶した現在、役者にとって飢餓を体で表現することは大変難しい。恐らく一番表現しにくいものだろう。

温暖化 飢餓は遠くなりにけり

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コメント

  1. 1-kakaku.com より:

    飢餓海峡

    1946年、青函連絡船が嵐で沈没し、乗客の遺体が収容される。しかし、その数が名簿よりも多い。ベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)は、転覆のどさくさで起きた殺人事件と睨み、執念の捜査を続けていく。そして10年後、犯人(三國連太郎)は事件当時の彼を知る遊女( …

  2. 1-kakaku.com より:

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    1946年、青函連絡船が嵐で沈没し、乗客の遺体が収容される。しかし、その数が名簿よりも多い。ベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)は、転覆のどさくさで起きた殺人事件と睨み、執念の捜査を続けていく。そして10年後、犯人(三國連太郎)は事件当時の彼を知る遊女( …