『機関車小僧』『ポンせんべい』 労働映画鑑賞会

かつて日本映画には、労働者映画というジャンルがあった。

労働者をサラリーマンとすれば、東宝の「サラリーマンもの」も、その変種である「クレージーキャッツ映画」も労働者映画である。さらに、サラリーマンものと言えば、小津安二郎のサイレント映画も、労働者映画になるだろう。

この2本は、戦後の民主主義運動が高揚していた時代の東宝系の作品である。

『機関車小僧』は、1949年、企画は米山彊、脚本は野田真吉と内山義重で、監督は野田真吉、音楽は大木正夫。

野田は応召中でいなかったが、米山彊は戦時中は航空教育資料製作所で企画や監督をやっていた方で、この映画の製作の東宝教育映画社は、航空教育資料製作所の改編であることがよくわかる。

配給は、教育映画配給社で、この会社は、1960年代目黒の柿の木坂スタジオの運営者だったが、この1949年からあったとは知らなかった。

話は、戦争で両親を失い、村の鍛冶屋に住んでいる少年・明が、父親と同じ機関車運転手に憧れ、決意するまで。C11,C57などのSLが出てきて、その疾走のシーンは迫力あるが、東宝には宮島義勇撮影の『指導物語』以来の伝統があることがわかる。

『ポンせんべい』は、漁村の話。労働省賛助で、1950年に労働基準法ができ、児童労働の禁止を訴える作品。

監督は記録映画の桑山茂、日本映画社で、日本映画新社になる直前の作品である。

漁村で子守り労働が、法によってできなくなり、代わりに主人公の少年がポンせんべいを始める。高崎の工場に住み込みで働いている姉が国井綾子という女優で、久我美子に似た感じだが、他で見たことがない。東宝のニューフェースだったのだろうか。

「ポンせんべい」とは、穀物を加熱・加圧して急に圧力を抜き破裂させ、ポップコーン状のものを作るもの。

私がいた池上では、「バクダンあられ」と言っていたが、いろんな言い方があるようだ。

連合会館会議室

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