「身もふたもない時代」

年賀状を出し、そのまま町へ出て戻り、大晦日のテレビを適当に見る。
結論的に言えば、どれも「身もふたもない」ものばかりだった。

TBSの「ダイナマイト」もやらせとインチキくさいものだったし、NHKの「紅白歌合戦」は、ただただ下品な「エロ」合戦だったようだ。

大晦日の午前中、偶然BSで「一日みんなの歌三昧」で、1960年代からの「NHKみんなの歌」を見た。
どれも相当に演出されていて、今見るとその演出がかなりおかしいのだが、その映像と音楽の品の良さに感動した。なにかを伝えようとする思いがあった。

本来、公共のものであるはずのテレビが、下品さ、程度の低さ、態度の悪さを送るのは、大変問題だと思う。
こうした本音は確かに世の中に存在している。だが、そうした本音を表に出すことは、やはりはしたないことである。
公共の場は本来建前であり、そこでは建前的であることは仕方ないのだ。
関西漫才的に、すべてを本音にしろ、と言っても無理なのである。

もっともこうした傾向は、日本の戦後社会そのもののようである。
喜劇役者だった古川ロッパは、戦後の喜劇役者を総括して、「昔は喜劇役者といえども一種の正義の味方だったが、現在では森繁久弥に象徴されるように、ずるい卑劣な役柄になった」と書いているそうだ。
多分に、戦後の自身の凋落への不満が反映されているが、日本の戦後社会を大変見事に言い当てている。

しかし、曙が勝つ日は、21世紀内に来るのだろうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする