日曜日は用があり外に出られなかったので、夜に田中絹代監督の『お吟さま』を見た。
以前、ＢＳで放送されたもので、脚本は尊敬する名手成沢昌成で、とても面白い。
千利休の娘お吟が、その余りにも美しいために陥る悲劇で、最後は、豊臣秀吉（滝沢修）にまで目を付けられる。
昭和37年、にんじんクラブ、松竹京都作品、音楽は林光。
お吟役の有馬稲子の美しさが最高だが、他にも母親で高峰三枝子、淀君に月丘夢路、さらに磔に掛けられる裸馬の女が、特別出演の岸恵子とまさに美女合戦。
有馬の召使女で富士真奈美が出てくるが、ほとんど目立たない。
田中の演出もきちんとしたもので、今のいい加減な監督連中に是非見せたい。
石田三成が南原伸二と出演者の大半が、にんじんクラブの連中。
この頃が、彼らの最盛期で、篠田正浩の『涙を、獅子のたて髪に』もにんじんクラブだった。だが、小林正樹監督の大作にして凡作『怪談』の失敗で破産してしまう。
宮島義勇のカメラもさすがにすごい。