裕次郎革命

西河克己は、『西河克己映画修業』の中で石原裕次郎を「風俗革命」と言っている。
先日、深作欣ニの凡作『恐喝こそわが人生』を見ていて、「松方弘樹は本来は正統派の二枚目なのに、何故こんなヤクザ役をやるのか」不思議に思った。
だが、1960年代は、日本映画の男優はすべて石原裕次郎を目指したので、二枚目はお呼びでなかったのである。
裕次郎以前の男優スターは、日活では葉山良二、松竹が佐田啓二と高橋貞二、東宝は宝田明という具合に二枚目だった。
そこに現れたのが、金持ちの不良息子という「理由なき反抗」を武器に大人に逆らう裕次郎で、これに日本映画界は全員なびいてしまったのだ。
そのため、その後も大映では田宮ニ郎より、裕次郎に持ち味が近い川口浩の方が優遇されるという現象まであった。

勿論、「裕次郎革命」は日本映画に新たな観客を掘り起こしたが、二枚目を追放したことで、長期的には女性客を減らし、テレビに映画が負ける下地を作った。
そして、1960年代の日本映画は男性客のみを相手とする、アクション、ヤクザ、セックス映画路線へとなって行く。
女性客にとって一番見たいのは、甘い二枚目のロマンス映画であることは、近年の「韓国映画ブーム」が証明している。

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コメント

  1. こんにちは
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