『波止場の賭博師』

1963年の小林旭の主演作で、『カサブランカ』を基にした作品として、石原裕次郎の『夜霧よ今夜も有難う』と共に有名であろう。実は、この作品の予告編は、さんざ見せられていて、長く「どういう映画か」と思っていたが、今回初めて見た。予告編を見た理由は、吉永小百合、浜田光夫主演の『泥だらけの純情』の次週の作品だったからである。

全国の暗黒組織を束ねる安部徹らの組織から、神戸で密輸の宝石と組織のファイルを小高雄二が持ち逃げし、横浜に来て、逃がし屋の小林旭のところに来る。

すると小高が連れてきた女は、小林旭の元の恋人の高須賀不二子だった。予告編では「期待の新人!」と出ていたが、叔母さんだなと思ったものだが。

小林旭は、横浜でクラブをやっていて、ハモンド弾きは信欣三で、旭の子分は井上昭文。もちろん、『カサブランカ』のように主題歌が入るが、『ハーレム・ノクターン』というのが困ったもの。旭のサックス演奏も入るが、どこかのんびりしてしまう。

監督は『霧笛が俺を呼んでいる』などの傑作のある山崎徳次郎だが、ここではテンポがなく歯切れが悪い。

高須賀は、当時青年座の女優だったと思うが、芦川いづみと檀ふみを足して二で割ったような感じで悪くなく、日活の他、新東宝の『私たちは天使じゃない』などにも出ているが、明るさがない。全体に暗い感じで、浅丘ルリ子が担っていた『夜霧よ今夜も有難う』のような明るさがない。

最後、新興ふ頭からボートに乗って二人は港外の外航船に行くが、それは地下水道を逃げるものだった。

ワイダの『地下水道』のみたいだが、港湾には生活用水はほとんどないので、大人が立って通れるような下水道はないので、この筋はおかしい。

ただ、1963年なので、建設中の山下ふ頭の姿が出てくるのは貴重な映像である。

チャンネルNECO

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