紙腔琴と和泉雅子

『路傍の石』には、他にも発見があった。
一つは、和泉雅子が子役として出ていたことで、一目で分かった。
美人は、ガキのころから美人である。
南極おばさんも昔は美人だったのだ。信じられないだろうが、吉永小百合より正統派の美人とされていた時代もあるのだ。
浦山桐郎の最高作の『非行少女』では、暗く濡れた瞳が美しい。
だが、当時和泉雅子は全くの漫画少女でなかなか演技に集中せず、浦山を何度も落胆させたそうだ。

さらに、吾一少年が奉公をする呉服屋のバカ娘が紙腔琴を持っていて、「カチューシャ」を演奏していた。
紙腔琴とは、日本で出来た楽器で、一種の小型自動オルガンである。
紙のロールを入れて音楽を出すのは、自動ピアノと同じ原理で、手回しのハンドルで操作する。
明治初期には大変売れた楽器だそうだ。
日本人は、昔から新し物好きだったのだ。

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