舛田利雄監督が出演していた。そして、『昨日の続き』のこと。

舛田利雄の『ゼロ戦燃ゆ』の特典映像を見ていたら、前半で加山雄三の下川大尉が試験飛行で墜落死するシーンで、「下川無理するな!」と叫んでいるのが舛田利雄なことが分かった。
「怒鳴りまくり」、「怒りまくり」で有名な舛田利雄なので、このシーンで怒鳴っている姿が適役ということにしたのだろう。

『ゼロ戦燃ゆ』は監督舛田利雄、脚本笠原和夫で『203高地』『大日本帝国』と続いたシリーズだが、いつもの舛田映画の、押すところと引くところ、アクションと抒情性が上手く交差してなかなかいい作品になっている。
早見優が主人公の堤大二郎と橋爪淳と三角関係になるヒロインだが、まあ良くやっている。かつての日本映画全盛時代だったら、日活での田代みどりくらいにはなっただろう。
このアクションと抒情性の混交は、裕次郎主演の傑作『零戦黒雲一家』や『赤いハンカチ』に典型である。『零戦黒雲一家』は、興味深いことに「ギャグ協力」が永六輔になっている。また、特別出演で当時雪村いずみの婚約者だった、ジャック・セラーという米国の若者が何故か出ている。

また、裕次郎、ルリ子、芦川いづみ、というより日活の最高作品の一つ蔵原惟善監督の『憎いあンちくしょう』の主人公・北大作(裕次郎)のモデルは、なんと永六輔なのである。因みにこの頃の、裕次郎・ルリ子映画で、浅丘ルリ子の名前がすべて典子(テンコ)になっているのは、脚本の山田信夫の意向で、女優の松本典子から来ているのだそうだ。この頃の松本典子は、知的で硬質な美しさがあったね。
『憎いあンちくしょう』の中の「今日の三行広告から」という番組は、当時ラジオ関東(ラジオ・にっぽん)で永六輔、前田武彦らが富田恵子とやっていた、今考えるとトーク番組のはしりの『昨日の続き』のことなのである。
「今日の話は昨日の続き、今日の続きはまた明日」だった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする