『錆びたナイフ』

石原裕次郎の初期のアクション映画としては、多分この舛田利雄作品と蔵原惟善の『俺は待ってるぜ』が最高だろう。

瀬戸内海の宇高市は、ヤクザの杉浦直樹らが牛耳っていて、昔に彼らが殺人事件を起こしていた情報が、不良だった宍戸錠によってもたらされるが、彼はすぐに殺されてしまう。
その不良仲間は、宍戸の他、石原裕次郎と小林旭であり、裕次郎と旭は不良から足を洗い、町で酒場をやっている。
杉浦らを裕次郎と検事の安井昌二が追い詰めて行くが、最後は意外な黒幕が明らかにされる。脚本は石原慎太郎と舛田利雄で、なかなか良く出来たサスペンス映画になっている。
ラストシーンの石炭置き場の場面は、映画史に残る素晴らしい場面だが、これは晴海で撮ったのだそうだ。
舛田利雄らしい大げさな演出が面白いが、音楽佐藤勝、美術松山宗と、東宝黒沢明のスタッフであり、日活としてはアクション映画ではなく、明らかに文芸映画として作っている。

この裕次郎、旭、宍戸錠の3人の共演と言うのは、この後はずっとなく、日活の終わりのニューアクション時代までないのそうだ。

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