これほど不思議な音楽はない

午後、渋谷のエル・スールに行き、ガーナ、ナイジェリアのCDを買う。
ガーナ、ナイジェリアの旧イギリス領アフリカには、1920年代から西欧のダンス・ミュージックを真似たハイライフという音楽があった。
それを革命してしまったのが、戦後現れたE・T・メンサーで、彼はカリブ海トリニダード・トバコの音楽であるカリプソを取り入れ、それがこの地域で大ヒットしたの。現在のハイライフは、ある意味でザイールのリンガラにも似て、キラキラするギターリフが快い音楽である。

さて、店主の原田尊志さんが、「これは絶対に気にいりますよ」エチオピアのCDをかけてくれた。
これが、まるで昭和30年代の日本の映画音楽風バンドの女性歌手の曲なのである。
なぜ、日本風かといえば、エチオピアの皇帝ハイラシラシエは、大の日本びいきで、1950年代に来日したとき、日本の映画を見て以来大ファンになり、帰国後国立近衛兵バンドを作り、日本風な曲を演奏させたのだそうだ。
その後も、ずっと日本から映画を輸入し、愛好したのだそうだ。
確かに、『ザ・グレイテスト・ヒッツ・オブ・ベズネッシュ・ベケレ』という女性歌手の曲は、日本の1950年代の東映や大映の音楽の感じに良く似ている。

その後、エチオピアは革命で社会主義になってしまい、ハイラシラシエも皇帝の座を追われ、近衛兵バンドも散りじりになったそうだ。
だが、なんとアメリカのワシントンに多くが住んでいるのだそうだ。
そこで出されたのが、このCDだそうで、原田さんは、すでにアメリカでは残存しなくなっていたので、エチオピアから買ったのだそうだ。
エチオピアでは、CDの生産はなく、すべてCD-Rで生産・販売されているのだそうだ。確かに、その方が安くて簡単である。
1960年代にカセットが生まれて、それが途上国で、簡易なメディアとしてあtらしいポピュラー音楽の出現の一つの原因になったが、CD-Rもそうかもしれない。

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