1960年に大映が作ったオムニバス・ドラマ。増村保造、市川崑、吉村公三郎の三人が監督した。脚本は八住利雄。原作は、村松友視のおじさんの村松梢風。風俗小説家で、マイナーな川口松太郎というところか。主演女優は、若尾文子、山本富士子、京マチ子。この成功で、後には『嘘』というのも作られた。
村松の小説で有名なのは、『残菊物語』。溝口健二がワンシーン・ワンカット技法を展開した作品で、村松の名はこの名作の原作者として、永久に残るだろう。
オムニバス・ドラマとは、複数のドラマからなるもので、なかなか面白いものである。オムニバスとは、ポルトガル語のオニバスで、バスのことである。
以前はかなり作られ、左翼独立プロによる『愛すればこそ』(監督は、吉村、今井正、山本薩夫)というのもあった。
この中では、増村・若尾の「耳を噛む女」も面白いが、市川・山本の第二話が、山本が詐欺師を演じとても面白い。相手役は船越英次。彼女が喜劇的な役もできることをよく示している。
横浜駅西口のハリウッド・ビデオにあるので、興味のある方は是非。