蔵原惟繕監督の『憎いあンちくしょう』を見て、主演であるはずの石原裕次郎が、浅丘ルリ子を立てて演じているのに気がついた。
この映画は、なんと言っても浅丘ルリ子の映画である。
恋人でタレントの裕次郎の北大作を追う、マネージャー榊田典子の浅丘ルリ子の心の軌跡がこの作品である。
当時、蔵原監督と燃え上がっていたと言われる個人的関係もあり、ルリ子は大変魅力的ですべてが輝いている。
ここで、それらを十分承知し裕次郎は、一歩引いてルリ子を立てる演技をしている。ほとんど、裕次郎は、ルリ子を紹介する司会者のように見える。
この辺は、彼は映画をよく分かっていたと思う。
この共演女優を立てるやり方は、後に裕次郎が主演する日活のムード・アクション作品で、桑野みゆき、星由里子ら他社の女優を迎える作品につながった。
また、テレビの刑事物で、自らはボスになるが、ほとんど主演はせず、主人公の若手役者を売り出す方法にも発展したと思う。
その意味では、石原裕次郎は企業経営者としても大変なセンスがあり、優れていたと思う。
それに反し、兄石原慎太郎は本質的に芸術家であり、完璧な個人主義者である。
政治家としても自殺した中川一郎から「晴嵐会」を受け継ぐが、すぐ全員に離反され、晴嵐会は消滅する。
また、東京都知事としても、今やボロボロになってしまうなど、組織運営には全く向いていないと言える。
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