野村芳太郎で興味深いのは、松本清張との関係である。
彼は清張の『張り込み』を作り、さらに城戸四郎が製作に反対していたという『砂の器』も成功させた。
そして、晩年は松本清張がどうしても作りたかったという『黒地の絵』の映画化のため、清張と霧プロを設立した。
だが、この小説は、正直に言えば到底製作できるものではない。筋は、戦後朝鮮戦争下の北九州・小倉で米軍兵(黒人)が暴動を起こし、一時戒厳令のようになった事実を背景にしている。
だが、黒人兵たちが暴動を起こすきっかけがおかしいのだ。あの小倉祇園太鼓の音にアフリカ系の人間の本能が刺激されて暴動になるというのだ。清張や野村らの音楽への無知は仕方がないにしても、私が見るところ、もしこのとおり映画化されたら現在では人種差別だとして、問題になるだろうと思う。清張も野村も日本の映画各社はおろか、アメリカの映画会社にも声をかけたらしいが、一つも実現しなかったのは、その辺に理由があったと思う。
そして、当初『黒地の絵』の製作のために設立したのに、一向に野村が製作する様子がないことに清張は最後はかなり不信感を持ったらしく、両者は最後は決裂したようである。
90年代に野村が倒れたのも、そうした心労が影響したのかも知れない。
いずれにせよ、この両者の関係は、そう奇麗事ではなかったと私は思う。
コメント
*印象深い桜のある映画・前章~故野村芳太郎監督に捧げる
昨日、
東京は朝から終日雨でした、
それでも僕には、先の土日を楽しませてくれた桜の花々にとっての無常の雨、非情の雨といったものには感じませんでした、
桜の花々を無残に吹き飛ばすような風雨ではなく、静かな雨でしたしね…。
今日、
また、東京は終日雨降
‘沈黙の監督’<BR>野村芳太郎様追悼…遅れ馳せながらログ♪
故・野村芳太郎監督への追悼ログ…大変遅くなりましたっ!