前から見たいと思っていた映画。
作家トルーマン・カポーティが主人公だが、彼が1959年末にカンザスで起きた農家の一家殺人事件に興味を持ち、詳細で膨大な取材をし、小説『冷血』を書くまでの話。
面白い部分は沢山あるが、彼が殺人犯ペリー・スミスに興味と言うより、むしろ愛情を持ち、自分との共通性を見出して行くところが最高に興味深い。
カポーティとペリーの関係はほとんど恋愛関係であり、それはポーティの同性愛によってさらに複雑になる。
カポーティーがペリーに見出したのは、強い孤独と絶対的な絶望であり、それはアメリカ社会の最上層と最下層にあって、なぜか共通したのである。
最初に現地取材を手伝う女性のミルが、日本で言えば香川京子そっくりの女優なのが好ましい。
また、彼女は作家で、後に映画化された名作『アラバマ物語』の原作者であることも驚いた。小説に出ていたそうだが、全く忘れていた。
カポーティーは、家庭的には不幸な子供時代を送ったが、生活は相当に裕福で、『冷血』の翻訳者龍口直太郎先生からは授業で、カポーティーの親が所有するアパートにテネシー・ウィリアムズが住んでいたと教わった。
ともかくニューヨークのセレブの爛熟した生活と、地方ののんびりした自然が同居するアメリカという国の大きさ、不思議さを実感させられる優れた作品である。
間違いなく近年見たアメリカ映画のベストである。
コメント
素敵な恋愛をしてみたい
素敵な恋愛をしてみたいなぁ