ドイツのスキーヤーのトニー・ザイラーがなくなったそうだ。
彼は、冬季五輪で三冠王など大活躍し、日本でも人気で、なんと松竹は彼を招聘し、1959年に『銀嶺の王者』を作ることになつた。
ドイツ映画『白銀は招くよ』でのザイラーの歌も、日本で大ヒットしていたからだ。
そして、1959年暮に大島渚は、監督デビュー作『愛と希望の町』を作り、マス・コミ用に試写会を行った。
ところが、その日にトニー・ザイラーが来日し記者会見したため、新聞記者は試写会には2人しか来なかったそうだ。
ともかくそのくらい、トニー・ザイラーは人気があり、スキー人気も大変なものだった。石原裕次郎がスキー場に行き、女性スキーヤーを避けて足を骨折したくらいだ。
だが、いくら人気とは言え、外国のスポーツ選手を日本に招聘し、映画化するなど、今考えれば随分大胆な企画である。
現在で言えば、世界陸上ベルリン大会で大活躍した、ジャマイカのウサイン・ボルトを呼んできて映画を作るようなものだろう。
今の日本映画に、そんな企画力は勿論ない。
松竹大船も、やけっぱちだったかもしれないが、結構冒険していたものである。
コメント
トニー・ザイラー
>ジャマイカのウサイン・ボルトを呼んできて映画を作るようなもの
否、それは違うでしょう。
「ザイラーの初恋物語」「黒い稲妻」「白銀は招くよ」と3作品が既に日本公開され、特に「白銀は招くよ」はblog本文にもあるとおり、ザイラーが歌った主題歌も映画も大ヒットしてますから、日本人映画観客にとっては、ボルトのように只のスポーツ選手ではなく、スポーツ選手で且つ、立派な外国の映画スターという認識ではなかったでしょうか?
外国人を招いた邦画といえば、70年代になりますが、欧米のポルノ女優(サンドラ・ジュリアン、シャロン・ケリー、クリスチナ・リンドバークなど)を招いたものがありましたね~
「黒い稲妻」「白銀は招くよ」はNHK-BSで何度か放送してますが、今現在でもなかなか楽しめる映画だと思いました。
アグファカラーが美しいです。
6年後の作品になりますが、「アルプスの若大将」は、明らかにザイラーの前記2作品の影響を受けていますね。
ザイラーのwikiを見ると、来日時にはドイツ映画祭にも出演しています。
また、約5ヶ月間も日本に滞在しているようですから、スキー場のコース設計や運営のコンサルタントなどをやっていたのかもしれません?
オーストリア本国では、スキー場、ホテル、スキー学校などの経営で実業家としても大成功し、スキー協会の会長も務めて、一大名士だったようですね。
たしかに人気者でしたね
『白銀は招くよ』は、半分日本語も混ざったレコードで、大人気でしたね。
西欧の白人崇拝は、ルノ・ベルレーの『愛ふたたび』とか、『恋の夏』なんていうのもありました。
後者では、ベルレーに簡単になびく小川知子について、野際夏子が「日本の女の子は、どうして外人に弱いのかしら」と嘆いていましたが。
男も女も日本人は、今も昔も外人に弱いのですな。