神保町シアターで、柳家金語楼の『三等兵』を見る。
くだらないの一言だが、18番の兵隊もので、金語楼の芸はさすがに笑える。
1959年の新東宝で、このときはすでに58歳なのだから、20歳の新兵を演じるのは、あんまりである。
相手役は、芸者の池内淳子で実に美しい。
丹波哲郎も出ていて、これは笑える。
監督は、斉藤寅二郎の弟子だった曲谷守平で、ほとんどの場面を正面から据えっ放しで撮っている。
喜劇の撮り方は、これが正しいのだ。
戦地に行き、中国人役で川田孝子が出る。
彼女はこの頃、金語楼劇団にいたいたはずだ。金語楼劇団には、和泉雅子もいた。
金語楼は、戦前から昭和30年代まで大人気者だったが、今は評価がきわめて低いと思う。
映画も多数あるが、あまりビデオ化されていない。
この人は、とても上手い人だったが、本質的に完全な一人芸で、他の役者との共演が良くなく、名作がない性だろうか。
あえて言えば、堀川弘通監督の『裸の大将』での小林圭樹との共演くらいか。