三國連太郎が亡くなり、大きく報道されているが、すべて映画ばかりで、芝居については書かれていないので、へそ曲がりとしては彼の劇について書く。
1988年にサンシャイン劇場でやった、ロナウド・ハーウッド作、ロナルド・エアー演出の『ドレッサー』がある。
これは第二次世界大戦下、ドイツ軍の空襲の続くロンドンで、旅回りの一座の座長が三國連太郎。
かつては名優だったが、高齢と大戦下の大混乱で、当たり役の『リア王』の台詞もろくに出てこない始末。
それを衣装係兼付け人のドレッサーの加藤健一が、なんとかなだめすかし元気付けて舞台に送り出す。
その夜、奇跡のような素晴らしい演技ができるが、終わったあとあっけなく死んでしまう。
座長の役は、わがまま傲慢、それに自分勝手で、女狂いという人間で、若い女優志願の子にまで手を出そうとする。
まさに三國にぴったりの役で、この若い女優は、今はもう女優をやっていない高部知子が演じた。
三國の妻が、渡辺えり子、その他女性の舞台監督が後藤加代で、なかなか良い芝居だったと思う。
その後、三國連太郎は芝居はやっていないようだが。
1970年代には、フィルムが発見されて数年前に再上映された、敗戦直後の樺太での女子の悲劇の『氷雪の門』を劇化して全国公演したようだ。
この頃、彼は某女優に狂っていて、その元宝塚出身の主演女優は、劇中意味もないのに突然踊りだすので、周囲の者は困惑したそうであるが。
劇の公演ではよくあることだが。
ともかくスケールの大きかった役者のご冥福をお祈りする。
コメント
あらやだっ。
ちなみにその某女優、せめてイニシャルだけでもダメですかね…?
もう引退された方なので
彼女の姉も松竹の女優で、かなり有名でした、と言えばお分かりでしょうか。
なんとなくわかりました…
たぶん私の予見が間違っていなかったら…。ウホッ(*^_^*)