1967年、大映で公開された若尾文子主演のミステリー映画、原作はコーネル・ウールリッチ、脚本舟橋和郎で、監督は富本壮吉。
若尾は、探偵社の内定で、夫高橋昌也が、クラブの女と浮気していることを知り、女のアパートに行く。
部屋が空いていて、中に入ると電話が鳴る。
恐る恐る受話器を取ると、なんと高橋昌也の声で「麻紀か」との台詞。
すぐに切るが、隣の部屋で女が死んでいるのに気づく。
驚いて、逃げ出すが、そのとき電話のところにあったメモ帳を持ち出していた。
若尾が家に戻ると上野山功一らの刑事が来て、「高橋が殺人容疑で逮捕されたので、家宅捜査をする」というが、この辺の畳み掛け方は良かった。
夫の無実を晴らすため、メモ帳にあった男たちを若尾が訪ねて行く。
成瀬昌彦、南原宏治、早川雄三、船越英二らで、中では成瀬が住んでいる山谷のドヤが凄い。
もちろん、セットだろうが、多分かなり正確に再現していると思う。成瀬というのも青年座の俳優で、クセのある役でよく出ていたが、大部前に死んだ。
最後は、意外な形のどんでん返しがあるが、そこは実は差別的表現があるので、書かない。
筋としても少し無理があると思う。
また、かなり良く出来ているが、この映画がテレビでは放映されないのは、この差別的表現の問題だろう。
監督の富本壮吉は、大映の若手として増村保造の後を期待されたがテレビに行き、後に百恵・友和の『泥だらけの純情』を撮ったが愚作に終わった。
阿佐ヶ谷ラピュタ