1970年8月、すでにダイニチ映配時代になっていて、勝プロで作られた座頭市シリーズ作品。
監督は三隅研次だが、脚本に山田隆之と並び勝新太郎の名があり、彼が脚本、監督に名を出した最初であり、相当に演出に口を出したのだろうと思う。
話は、「闇公方」と言われる盲目のヤクザ森雅之と市の対決で、森雅之の盲目の演技、その表情が凄い。
全体に軽く、コミカルに作られていて、その際たるものは、市が湯屋に行き、湯船に居るといきなり刺青の男たちが飛び出てきて切りかかられるシーン。
勝新太郎の裸の殺陣がコミカルに描かれる。
風呂桶を使っての、下半身を隠しての斬り合いなど、恐らく勝の考えたものに違いなく、大いに笑える。
他の共演者も、大原麗子、ピーター、仲代達矢など、豪華で、また彼らをよく立てている。
この辺は、役者の心理をよくわかっている勝新太郎の面目躍如であろう。
また、音楽がいつもの重厚な伊福部昭ではなく、富田勲で、ロックを中心にして軽く流している。
勝新太郎のセンスがわかる1本だと思う。
衛星劇場