元巨人の選手、監督だった川上哲治が死んだ、93歳。
さすがに私でも現役時代の記憶はあまりない。
彼は、打撃の神様だったが、守備は非常にお粗末だった。後の王に比べたら比較にならないほど、下手な一塁手だった。一塁ゴロは、ほとんど正面に来たものしか取らなかったのではないか。
1958年、彼が現役引退した時の声は今も憶えている。
長嶋が入団し、巨人はセリーグ優勝した。だが、稲尾、中西、豊田の西鉄に日本シリーズでは完璧に負けた。
例の3連勝の後の4連敗の、鉄腕稲尾の4連投の勝利である。
この引退声明の中で川上は「もうわれわれの時代ではない、若い中西、豊田らの時代だ」と言った。
確かに、このとき川上は、戦前からプロ野球にいた数少ない選手の一人だった。
そして、彼は水原の後を継ぎ、巨人の監督になり、すぐに9連覇をすることになる。
川上は、打撃の選手で、守備はさっぱりだったが、チームとしては、王、長嶋はいたが、守備型のチームを作ったことは極めて興味深い。
青田昇の説によれば、「監督と言うものは現役時代の自分とは逆のチーム作りをするものだ」そうで、川上はまさにその通りだからである。
いつも悔しい思いをしたが、あまりにも偉大な9連覇をした監督のご冥福をお祈りする。