野球で選手兼監督があるが、映画でも役者から監督になった者がいる。

多分、役者から監督になった第一号は、衣笠貞之助だろう。この人はサイレント時代の女形で、主演しながらカメラマンに指示を出したと言う。女優として品を作り形を決めながら「絞り、絞ってくださいな」と指示したという。。役者から監督になった人では、稲垣浩もそうだ。最も子役だったそうだが。
女優では、田中絹代が有名で、6本作っている。公開当時は話題だけで余り正当に評価されていないが、最後の作品『お吟さま』など、大変立派な出来である。
女優では1本だけだが、左幸子が『遠い一本の道』という国労の協力で、日本映画史上恐らく最後になる「組合運動賛美映画」を監督している。望月優子も監督をしたかったらしいが、議員になったりしたためか実現しなかった。
男優では、勝新太郎が第一だろう。勝はテレビも随分作っている。生きていれば市川雷蔵も、監督が出来たと思うが、残念なことである。
渋いところでは、脇役だった小杉勇が戦後日活等で映画を作っているが、比較的いい出来だったようだ。

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