「勝者の寛容」

最近、NHKの会長や経営委員の発言が問題になり、その非常識ぶりには呆れる。

だが、その裏にあるのは、日本には「勝者の寛容」ということが欠如しているからではないか。

それは、ある戦いで勝ったとしても、勝者は敗北した側を責めず、徹底的には追い詰めないということである。

それが「勝者の寛容」というものである。

            

なぜか、欧州には、20世紀で苦い経験があるからである。

第一次世界大戦が英仏等側の勝利で終わった時、ベルサイユ会議で、英仏側はドイツが二度と英仏に復讐しないように徹底的にドイツの体制を破壊した。

だが、それはドイツ国民の底に、英仏側への激しい憎悪と再起の意思を作り出し、それはナチスを産み、最終的には第二次世界大戦になってしまう。

戦争というものは、結局ゲームのようなもので、長期的に見れば勝ったり、負けたりである。

欧州の歴史を見れば、ずっと勝っている国もないければ、永続的に敗北している国もない。

だから、いずれは敗者に雪辱されることを考えて、徹底的に敗者を追い詰めない「勝者の寛容」が必要なのである。

結局のところ、日本人は戦争の経験が不足しているということだろうか。

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