俳優の宇津井健が亡くなった、82歳。
新聞等にも出ていたが、新東宝の映画『思春の泉』で映画デビューし、新東宝では『スーパー・ジャイアンツ』など膨大な作品に出ている。
この『思春の泉』は、後に日活で吉永小百合・浜田光夫主演の『草を刈る娘』となった石坂洋次郎原作の農村コメディで、新東宝のは非常に純朴な感じだったと思う。
中では、やはり中川信夫監督の『雷電』が大変に良く、相撲映画の傑作だろう。
1961年に新東宝が潰れた後は、大映に移籍し、ここでも多くの映画に出ているが、同時に大映テレビ室の『ザ・ガードマン』のヒットがあった。
ここには多くの元映画監督が参加しており、それは次の山口百恵の『赤いシリーズ』の製作につながる。
この時代では、東映の佐藤純弥の唯一の名作『新幹線大爆破』の運転指令官役が良かった。
最後「辞めさせてもらいます」と言うのだが、大変情感がこもっていた。
結局、正義の味方というか、真面目な男の役が多く、今ではなかなか恥ずかしくなく演じられない役柄である。
82歳とは、そう高齢ではなく、死因は肺気腫とあったので、やはり煙草なのだろうか。
新東宝、大映と今は既にない映画会社を支えた名優のご冥福をお祈りしたい。