1966年、『男の顔は履歴書』に続き、加藤泰が松竹で撮った2作目で、主演はやはり安藤昇。
昭和18年の北支というタイトルが出て、上官の佐々木孝丸に逆らった安藤が、前線の刑務所というか獄に入れられる。
そこは中国人に売る阿片の材料のケシを栽培している台地で、その獄にはいろんなはぐれ者がいる。
松竹版の『兵隊やくざ』ともいえるが、作品としては日活の『黒雲零戦一家』に近い構成だが、安藤には勝新太郎や石原裕次郎のような底抜けの明るさはないので、映像はあまり弾けない。
この乱暴者たちは、高宮啓二、南原宏冶、左朴全、諸角啓二郎、砂塚秀夫らで、個性的なのだが、上手く描き分けられていないので、あまり盛り上がらない。
ともかく雑な感じがしてしまう。私が見た加藤泰作品で、最も雑な作りの映画であり、この次は東映に戻って同じ安藤の主演で『懲役十八年』になってしまう。
唯一おかしかったのが、獄を抜け出した連中が慰安所に来て、秘密なので無音で酒盛りで騒ぐところだった。
最後、逃亡しようとする佐々木孝丸に復讐するため、安藤は得意の窓枠破りで、部屋に飛び込んできて、佐々木をハチの巣にしてしまう。
安藤昇は、芝居は下手だが、非常に迫力があり、男が男に惚れるという人間であることがよくわかる。
フィルムセンター
コメント
観てみたいです
迫力があって、男が男に惚れる男であると。
安藤昇って愚連隊の安藤組の親分ですよね？
確か子分に「塀の中の懲りない面々」の作家さんがいたはず。
そんな男がどんな顔をしているのか観てみたいものです。探してみます。
本当にかっこいい男だったそうです
安藤昇は、男が男に惚れる、本当にかっこいい人だったそうです。
出演作は沢山あります。
1.1965.08.29 血と掟 第７グループ
2.1965.09.30 やさぐれの掟 ＣＡＧ
3.1965.11.20 逃亡と掟 ＣＡＧ
4.1966.01.15 望郷と掟 松竹＝ＣＡＧ … 相良
5.1966.03.05 炎と掟 松竹大船
6.1966.07.15 男の顔は履歴書 松竹大船 … 雨宮修一
7.1966.10.15 阿片台地 地獄部隊突撃せよ ゴールデンぷろ … 宇留木少尉
8.1966.12.24 男の顔は切札 日本電映
9.1967.02.11 白昼の惨殺 ゴールデンぷろ
10.1967.02.25 懲役十八年 東映京都 … 川田章
11.1967.05.03 侠客道 東映京都
12.1967.06.17 日本暗黒史 血の抗争 東映京都 … 河上純一
13.1967.06.29 続組織暴力 東映東京
14.1967.08.26 ギャングの帝王 東映東京
15.1967.10.21 懲役十八年 仮出獄 東映東京
16.1967.12.23 網走番外地 吹雪の斗争 東映東京 … 轟
17.1968.01.14 日本暗黒史 情無用 東映京都 … 坂下健一
18.1968.05.14 密告 東映東京
19.1969.07.08 日本暴力団 組長 東映東京
20.1969.07.26 やくざ非情史 刑務所兄弟 創映プロ
21.1969.09.06 組織暴力 兄弟盃 東映東京
22.1969.10.08 やくざ非情史 血の盃 創映プロ
23.1969.10.18 昭和やくざ系図 長崎の顔 日活
24.1970.02.21 やくざ非情史 血の決着 創映プロ
25.1971.01.12 博徒外人部隊 東映東京
26.1971.06.01 懲役太郎 まむしの兄弟 東映京都
27.1971.08.13 新網走番外地 嵐を呼ぶ知床岬 東映東京
28.1971.10.01 まむしの兄弟 お礼参り 東映京都
29.1971.10.30 出所祝い 東京映画
30.1971.12.17 関東テキヤ一家 浅草の代紋 東映京都
31.1971.12.29 新網走番外地 吹雪の大脱走 東映東京 … 久保
32.1972.04.14 ギャング対ギャング 赤と黒のブルース 東映東京
33.1972.05.06 現代やくざ 人斬り与太 東映東京 … 矢頭俊介（矢頭組組長）
34.1972.09.29 やくざと抗争 東映東京
35.1972.12.30 昭和残侠伝 破れ傘 東映東京
36.1973.03.03 やくざと抗争 実録安藤組 東映東京
37.1973.07.04 実録 私設銀座警察 東映東京
38.1973.10.27 現代任侠史 東映京都 … 栗田光男
39.1973.12.01 実録安藤組 襲撃篇 東映東京
40.1974.03.30 非情学園ワル ネリカン同期生 東映東京
41.1974.04.13 暴力街 東映東京 … 江川紘一
42.1974.06.01 唐獅子警察 東映京都 … 栗原友雄
43.1974.08.10 三代目襲名 東映京都 … 菅谷政雄
44.1974.09.14 あゝ決戦航空隊 東映京都 … 関根賢
45.1974.10.09 無宿 勝プロ … 斐川仙蔵
46.1974.11.01 安藤組外伝 人斬り舎弟 東映東京
47.1974.12.28 新仁義なき戦い 東映京都 … 海津卯之吉
48.1975.02.15 仁義の墓場 東映東京
49.1976.05.29 任侠外伝 玄海灘 唐プロ＝ＡＴＧ … 近藤
50.1976.10.01 安藤昇のわが逃亡とＳＥＸの記録 東映東京
51.1979.03.24 総長の首 東映京都 … 花森庄造
52.1988.06.11 極道渡世の素敵な面々 東映東京
53.1997.03.15 実録 新宿の顔２ 新宿愚連隊物語 ムービーブラザース … 特別出演
54.1998.04.10 疵 血の黙示録 (V) 東映ビデオ
55.1998.06.12 疵 血の黙示録２ (V) 東映ビデオ
56.1998.10.09 疵 血の黙示録３ (V) 東映ビデオ
57.1998.12.11 疵 血の黙示録４ (V) 東映ビデオ
58.2000.05.06 安藤組外伝 掟 ミュージアム
59.2001.01.12 疵５ 血の鎮魂歌 (V) 東映ビデオ
60.2002.04.13 実録・安藤組外伝 餓狼の掟 東映東京撮影所 … 安藤昇
私が見た中では、やはり加藤泰監督の『男の顔は履歴書』や『懲役十八年』が良かったと思います。
台詞は勿論下手ですが。
これは有り難うございます
わざわざお調べいただいて感謝をいたします。
こんなに沢山に出演しているのですね。
プロ役者に転じていたんだ…知りませんでした。
台詞や演技がたどたどしいけれども、印象に残る役者というと私はオマー・シャリフを挙げます。「ドクトル・ジバコ」とか酷かった。
でも「アラビアのロレンス」でロレンスと共に行動し、最後に別れて英国へ政治を学びに行くサウジ家の青年は、実に感動的でした。
持っている雰囲気が多少の下手さなど吹き飛ばす俳優っているのですね。
安藤氏の特に管理人さんお薦め作品をフィルムライブラリーで探してみます。気長にやれば見る機会にも巡り会えるでしょう。
有り難うございました。