1961年東宝映画、芸術祭参加作品。とてもよく出来ている。松林宗恵監督の世界平和、原爆反対への心情が極めて良く出た素晴らしい作品。
脚本に特撮映画の木村武と共に、文芸映画の巨匠八住利雄。
主演のフランキー堺、乙羽信子夫妻の日常的な描写がとても良い。さすが八住先生。
当時は、米・ソの対立、スパイ飛行機U2機の撃墜など、世界戦争への恐怖が高まっていた時期で、また第二次世界大戦の記憶も生々しく、開戦の恐怖から東京都民が避難するシーンのリアリティなど、実にすごい。
連邦国(西側)、同盟国(明らかにソ連側)の不意の対立からミサイルが世界中に打ち込まれ、最後東京も廃墟になる。
一番印象に残ったシーンは、避難した都民がいなくなった後、ゴミが散乱する都内の街角を団扇太鼓の列が行進していく中を、娘を捜し品川駅から北区まで走る中北千枝子がばったりと倒れ死んでしまうところ。
実は、この映画の前に『宇宙大戦争』を見たのだが、その作品での博士千田是也の甥、ジェリー伊藤が、この映画ではアメリカ軍新聞記者で出ている。
団伊玖麿の音楽が少々うるさいのが問題。