時効２日後に迎えた１５年前の殺人事件を追う刑事長門裕之の物語。監督松尾昭典。
星川清司の脚本がすばらしいが、松尾の演出も手抜きが一切なくて、すごい。
犯人の大坂志郎を探して、刑事が北品川、青砥、赤羽、町屋等の東京を歩く。
その下町的映像もいまや貴重。
再婚した一家（高野由美、伊藤孝雄、中原早苗）との平和な生活との対比が良い。
最後の町屋の長屋のロケーションとスタジオ・セットとの切り替えがとても上手く出来ている。
町の細かい風俗的な描写は、松尾が助監督時代にいた松竹の伝統だろう。
熱海で犯人の証言する北林谷栄が最高に笑わせてくれる。
松尾昭典は、何でも作る監督だが、中でも『夜霧の慕情』『忘れるものか』等のムード・アクションが良かった。
高橋英樹の代表作『男の紋章』シリーズも、東映のやくざ映画に劣らない作品だった。
日活アクション映画には多大な貢献をしている。
とても作品のレベルの高い監督だったと思う。