現在の著作権の期間、死後50年を延長しようとの動きがあるが、全くの暴論である。ポピュラー文化において、先行作品なしに創作が生まれることはありえない。
日本には、昔から「本歌取り」と言う手法があり、歌舞伎は必ず先行作品を土台にしている。『仮名手本忠臣蔵』には、46本の先行作品があり、47本目の「忠臣蔵もの」だった。
川口松太郎の名作『鶴八鶴次郎』は、アメリカ映画『ボレロ』の翻案。
大仏次郎の『鞍馬天狗』は、『紅はこべ』を元にしているし、岡本綺堂の『半七捕り物帳』も、米英の探偵小説の翻案である。
大衆文化では、先行作品に刺激され、その趣旨に寄り添うことで、作品は個人的営為を超え、集団的、共同的、民族的感性や感情に達することが出来るのだ。
そこにいちいち著作権を主張するなど、全くナンセンスである。
著作権は、現行法でも十分に保護されており、それをさらに強化延長しようなど、全く馬鹿げた考え方である。