勝組、負組とは、元はブラジルの日系人社会で言われた言葉である。
第二次大戦後に、日本が勝ったというのが勝組で、負けたと思ったのが負組だった。また、前者を信念組とも言い、後者を認識派とも言った。
第二次世界大戦で、日本が勝ったなどと思い込むとは信じがたいだろうが、広大なブラジルの農地等にいて、ブラジルの言葉ポルトガル語もできず、新聞、ラジオの情報も得られず、皇国教育を受けていた日系人が、日本が勝ったのだ、「神州不滅」と信じたのは無理もないことだろう。
実際には、ミズリー号での日本の降伏文書署名のニュースフィルムを、日本の勝利の証拠としてブラジル奥地まで持っていった活動弁士もいたというのだ。
両者の間には様々な衝突があり、勝組による負組への殺人事件も起きる。
さて、日本の勝組、負組が言われるようになったのは、小泉純一郎が首相になった頃からだろう。ホリエモンや村上ファンドが若き勝組として称賛され、今日に至っている。
今回、座間で起きた殺人事件の犯人の性格と心理は異常と言うしかないが、それ以上に問題なのは、被害者のほとんどが自殺志願の10代の女性だったとことである。俗に「はしが転がってもおかしい世代」のはずの10代の女性が自殺志願をするのは異常と言うしかない。
多分彼女たちは、どこかの時点で「自分は負組なので、生きている価値がない」と思ったに違いない。
実に、悲しいことである。
これはそうした状況を作ってきた、小泉構造改革の結果の一つであると私は思う。