1943年、松竹大船で作られ、白系で公開された反英国映画。
明治19年、青森から東京に司法官の佐分利信が戻ると、日本は鹿鳴館に象徴されるように欧化主義が蔓延している。
横浜らしい町の祭りに馬で英国人が乗り入れ、祭りを混乱させるなどしていて、街頭剣舞士の三井秀男や徳大寺伸らは悲憤慷慨している。
彼らの一人が、田舎に戻ることになり、横浜から英国船ノルマントン号に乗るが、紀州沖で台風に遭い、日本人25人は死亡し、船長以下の英国人たちはボートで逃げて全員助かる。当時は治外法権で英国領事の裁判で全員無罪。その後、助かった中国人コックの証言で、有罪になるが。
この辺までは実話に基づいているらしいが、これからは相当に怪しくなる。
英国人が、中国人を誘拐し横浜に汽車で連れて行ってしまうが、徳大寺が馬で追い、なんと追いついてしまい銃撃戦になり、徳大寺が英国人を殺したことから裁判になる。
裁判長の英国領事は、いつもの付け鼻の青山杉作で、領事裁判に佐分利信が特別に参加し、いろいろと議論するが、これが全部日本語なのだ。もちろん、有罪になるが、50年後、ついに日本は英国に反撃したのだ!、となる。
戦場で、英国旗を踏んずけて進む多くの日本兵の姿!
世界の小津安二郎の最大の協力者だった野田高梧が、反英国映画の脚本だったとは!
タイトルに演歌の神長瞭月の名があったが、演歌指導らしく、街頭での演歌士、「オツぺけぺ節」、鹿鳴館の前で歌う演歌士の3回があったが、ご本人は出ていないようだ。
長瀬記念ホール OZU