『エル・ベニー』

キューバを代表する歌手ベニー・モレ(1919~1963)の伝記映画、黄金町のシネマ・ジャックでやっているキューバ映画祭。
ベニー・モレは、貧しい農民の生まれで、ハバナに出てきて歌手となり、その後メキシコに行き、ペレス・プラードともマンボを多数録音する。
ハバナに戻って来て、自分の楽団を持ち、ライブ、ラジオ、レコードに活躍するが、私生活は酒と女、さらにビジネスのトラブルで大変なものだった。
彼は、マンボの創始者であるようにリズムの良さも勿論だが、力強い美声を生かしたボレロも素晴らしい。
私が、キューバやブラジルの音楽が好きな理由の一つに、このロマンチシズムがある。
女殺しの歌手が、浪々と歌い上げるボレロ等のバラードのリリシズムは、ラテン音楽の魅力の一つで、チャーリー・パーカーにはあったが1970年代以降のジャズには完全に失われたものだ。。
こうした大衆的、通俗的な魅力を喪失したことが、現在のジャズのつまらなさだと思うのですが、いかがでしょうか、kcatさん。

ルシアという名の3人の女で、19世紀末のキューバ独立戦争、1930年代の革命時代、そしてキューバ革命以後をオムニバスで描く『ルシア』、1961年のキューバ革命を再現したセミ・ドキュメンタリー『レボルシオン・革命の物語』も見たが、どちらも音楽が良かったのは、さすがにキューバ。

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